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2016.02.01 : Essay

季節の色

方位は守護神と共に色で表すことができます。
奈良県の高松塚古墳、キトラ古墳の壁画で有名な「青龍、白虎、朱雀、玄武」ですが、これらの伝説上の神獣は中国の陰陽五行説にもとづいた方位の象徴とされています。青と龍は東、白と虎は西、朱(赤)と鳥は南、そして玄(黒)とヘビの巻きついた亀(武)は北をあらわし、中心には黄色(黄竜)がいます。

また、季節も色で表されます。青は春、夏は朱、秋は白、そして冬は玄で、「青春、朱夏、白秋、玄冬」の言葉は人生を季節で表現する言葉としても使われ、「玄人(くろうと)」は玄冬の域に達した人を意味しています。

北の黒は冷たい水を表しています。黒は闇や夜など多くが暗い世界と結びつけられますが、古代エジプト人にとっては、ナイル河の氾濫によって上流から運ばれてきた土の色、豊穣をもたらす黒土であり肥沃な大地の象徴の色でもあり、古代中国では黒は天の色でもありました。黒は大地であり水であり、宇宙でもあるのです。

玄は黒でも赤や黄色を含む黒色をいいます。
生命力溢れる色を含み、新しい生命を育むのが玄です。
寒く厳しい冬、静かに見つめる深遠の時間が、青い春へと導きます。

 

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2016.01.25 : Essay

Song Bird

耳にしたら忘れられない歌声があります。心にとまりこの美しい歌声を誰かに伝えたくなります。

エヴァ・キャシディー(Eva Cassidy)は1963年にアメリカで生まれ、1996年33歳の若さでこの世を去りました。
そして彼女の死から4年後、ラジオで流れた「Over The Rainbow」はイギリスで話題となり、世界に広がるネットがより遠くへと繋ぎ伝え、いまなお人々を魅了し続けています。

エヴァは数多くの歌をカバーしていますが、彼女のオリジナル曲かと思えるほど、彼女は光るアレンジとアプローチでその世界を作り、パースペクティヴに包み込む歌声と距離感は、静かで心地よい空間を感じさせてくれます。

代表曲のひとつの「Song Bird」は、フリードウッドマック(Fleetwood Mac)のクリスティン・マクビィ(Christine McVie)のオリジナルで、溢れる愛を歌っていますが、エヴァの歌声は彼女の短い生涯と歌うことへの愛おしい想いを込めているように響きます。

 And I wish you all the love in the world,
But most of all, I wish it from myself.
And the songbirds keep singing,
Like they know the score

エヴァの歌声を聴くと、本当に美しいもの、心に響くものは、必ずいつか誰かに伝わると思えるのです。

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2016.01.17 : Essay

浮かぶ光

光に溢れた明るい部屋も、陰を作り空間は物語を語り始めます。
光が照らし出すものその裏には陰があり、陰がカタチを浮かびあげます。

北欧フィンランドの首都、ヘルシンキ郊外ムンキニエミという住宅地にあるアルヴァ・アールト(Alvar Aalto)のスタジオ(Studio Aalto)は、低く水平から到達する氷った冬の光を採り入れるため、光を反射させる白い空間を作っています。
高い天井にはハイサイドライト、円筒のスカイライトは丸みを帯びた三角形を通し柔らかく光を拡散しています。そしてモビールのようにアールトデザインのペンダントライトがバランスよく浮かんでいます。

アールトのライトは、ベリーや蜂の巣などの自然造形をシンプルでモダンにデザインした機能美を作り上げ、優しい穏やかな空間に浮かぶ灯りは見上げた時、カットワークからこぼれる光やプレスしたスチールのラインはより際立ちます。

アールトの住宅では、リビングで、ダイニングで、そしてキッチンで、灯りの浮かぶ高さや位置によって空間の均衡がずらされ、リズムをつくりそれが視線と視点の心地好さを醸し出しています。

空間に浮遊することのできる唯一と言ってよい光のカタチが、ペンダントライトです。

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